2016年2月2日火曜日

日台交流戦メンバーを見て、野茂英雄の偉大さを思う。

子連れフリーライターにとって永遠の課題といってもいい、取材の日に子供が病気!!問題。やはり幼児を持つ身として、「無理は禁物」を肝に命じた年初であります。

気づけば1月は冷や汗とともに過ぎ去り、日本では12球団がキャンプイン。疲れた心身にうれしい球春到来です。台湾では一足早くキャンプが始まっていまして、遡ればストーブリーグには、統一セブンイレブンライオンズの郭泰源監督誕生、Lamigoモンキーズの林智勝が台湾史上初のFA行使で中信兄弟へ電撃移籍、さらにプロ野球初期からリーグを支えたベテラン選手張泰山の独立リーグ入りなど、さまざまな話題があったのでした。

3月5、6日には名古屋と大阪で台湾代表(正確にはやっぱり今回もチャイニーズタイペイ)と侍ジャパンの親善試合が開催されますが、台湾では一足早くメンバーが発表になっています。

投手:王溢正(猿)、林柏佑(猿)、陳禹勳(猿)、謝榮豪(兄弟)、陳鴻文(兄弟)、倪福德(犀)、林正豐(犀)、潘威倫(獅)、林子崴(獅)、王鏡銘(獅)
捕手:林泓育(猿)、陳家駒(兄弟)、林琨笙(犀)
內野手:陳俊秀(猿)、郭嚴文(猿)、余德龍(猿)、林智勝(兄弟)、王勝偉(兄弟)、陳鏞基(獅)
外野手:王柏融(猿)、陽耀勳(猿)、周思齊(兄弟)、張正偉(兄弟)、高國輝(犀)、張建銘(犀)、劉芙豪(獅)、陳金鋒(猿)
※(猿)=Lamigoモンキーズ、(兄弟)=中信兄弟エレファンツ、(犀)=義大ライノズ、(獅)=統一セブンイレブンライオンズ

現地で注目されているのは陳金鋒の参戦です。
彼は「台湾人初のメジャーリーガー」にして、国際大会で数々の「記憶に残る一打」を放ってきた選手。日本で紹介される際には、2004年のアテネ五輪で上原から3ラン打ったこと、あとは2007年に台湾で行われた北京五輪予選で、ダルビッシュから逆転2ランを打ったことが必ず持ち出され、「あ、あいつか!」となる選手ですね。

私も台湾に来てから「ああ、あの北京五輪予選の!」という感じで改めて知るに至った選手で、全盛期を知るわけではないので個人的な思い入れはなかったのですが、台湾の野球ファンにとって特別な選手なのだというのはわかりました。経歴からではなく、球場での声援を聞けばわかるんです。

そんな彼も今年39歳。今季限りでの引退を表明していまして、プレミア12では始球式に登場、現役選手でありながら、なんとなく一線を退いたスタンスが続いていました。今回の親善試合にはメンバー入りを早くから打診されていたけれど、本人が迷っていたという報道もあります。

私にとって「遠目で見ていた台湾の英雄」を見る目が変わったのはつい最近。昨年12月11日に開催されたNIKE主催の野球教室のニュースを見たときです。下は2014年の同教室の様子。真ん中にいるのが野茂英雄、その右にいるのが陳金鋒で、左は陽岱鋼です。


昨年同様、豪華メンバーで開催されたこの野球教室は、コーチ陣が参加する練習試合も見どころ。ところが今年は陳金鋒が打席に立たず、野茂が残念がっていたそうなんです。そんな中、ETtodayというネットサイトの記事が目につきました。陳金鋒が野茂についてこんなふうに語っていたのです。

「野茂はあまり多くを語らない。僕も話すのがあまり好きじゃない。行動で示すタイプなんだ」「高校の頃はアメリカに行くなんて考えたこともなかったけれど、だんだん野茂の影を追って挑戦したいと思うようになった」

台湾人初のメジャーリーガーにも影響を与えたと聞いて、パイオニア野茂の偉大さを再認識せずにいられません。また台湾のパイオニアである陳金鋒もまた寡黙なタイプであるという点も、なんとなく感慨深いものがあります。

ところでその野茂、現在はNOMOベースボールクラブというクラブチームを立ち上げ、地元の人と賛助会員に支えられて地道に活動中。喋りが苦手でインタビューやコメントもめったにしないし、ファンとしては寂しいほど表舞台に出てこないのですが、最近立て続けにマウンドに立っているんですよね。このNIKE野球教室でも投げたし、1ヶ月後の1月11日に「名球会ベースボールフェスティバル」でも力投して、「トルネード投法復活!!」と大きな話題になっていました。そこには「野球の普及に少しでも貢献したい」という思いがはっきりと見て取れます。

陳金鋒がまたしても野茂の姿に触発された、と考えるのは妄想が過ぎると思いますが、台湾球界のスターがメンバーに入ったことで、日本との親善試合が台湾の野球ファンにとって、ただの親善試合でなくなったことは確かです。かつて国際試合で「台湾ここにあり」を見せつけてくれたヒーローが、また帰ってくるのですから。

CPBLのFacebookより

親善試合出場に至った経緯や気持ちについて、私が見た限り陳金鋒本人のコメントは出ていません。悔いなく現役を終えたいという自身の気持ちももちろんあるでしょうが、自分が打席に立つことの意味は誰よりもわかっているはず。出場という彼の選択に、陳金鋒のスターたるゆえんを見た気がします。

ああ、やっぱり3月も帰国するしかないのか。
財布を見ながら頭を抱える冬です。

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